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平成22年度 広報はら10月号

更新日2021年3月11日

平成22年度広報はら10月号村長きよしの山麓朴談vol,38

今年の村民登山で事故が起きてしまいました。死亡されました五味元吉氏には、心からのご冥福をお祈り致します。登山家をもって鳴るこの私が就いて行きながら、この結果になったこと、ただただ恥入り深く反省の他はありません。

事故は何故起きたか。原村の村民登山は46回目ですが過去45年間は無事故で、小さなこと一つ起きていません。担当する社会体育館事務局と山岳会の努力に負うところが大きかったと思います。今年は甲州武田家所縁の恵林寺の山号にもなっている山梨市の、乾徳山2031mを目指しました。草原、森林、岩場と三拍子そろい、往復7時間30分程の人気の高い山です。一行は18名でしたが、脱落もあって13名が登頂しました。事故は頂上からの下り、第2の鎖場で起きました。一行の後尾のほうを歩いていた五味氏が、この鎖場でバランスを崩して転落したのです(午後12時40分)。通常鎖は危険な所に取付けてあり、こういう所では皆注意力を高めて通過しますから、転落等は起こらないものなのですが、五味氏がどういう状況であったかは、その瞬間を目撃できた者がいませんので判りません。

転落距離は約13mですが更に9m程転がっています(後日検証)。一行は直ちに救出作業に入り、五味氏の身体状況を確認。外傷はないものの脈拍、呼吸とも弱く、応答も弱いながらありました。登山道まで何とか搬出するも、登山口までの搬出はこの一行では無理と悟らざるを得ず、且つ一刻も早く医療機関へ収容したいとて、ヘリコプターの飛来できる所まで、全員の協力で救出しました(午後2時10分)。俄か仕立ての一行が皆良く協力して戴き感謝に耐えないところでした。ヘリ収容は午後2時30分、山梨中央病院に収容されるも午後3時35分死亡が確認され、その報が齎された一行は言いしれぬ脱力感、無力感に襲われました。一行の消耗は筆舌に侭せず、誠に残念無念且つ五味氏にはお気の毒となりました。

高山深谷の佇まいを是非多くの村民に味わって欲しいと始まり、45年間無事故を続けてきた村民登山ですが、大きな反省点に立たされました。村民登山は小中学生の保護者同伴以外は年齢制限をせず、健康であれば誰でも参加出来ることでやって来ました。勢い高齢者の参加が多くなっています。従って高齢者の体力への配慮をもっとしなければなりません。少なくとも脱落者の出ない程度の行程とし、休憩も頻繁に入れるべきです。暑い時期は体力の消耗も激しいですから、特に注意が必要になります。全体に余裕を持ちたいものです。五味氏の転落の直接的原因は何か解りませんが、きっと大変疲れていたのではないかと思われます。

45年間の無事故はどのようにして達成されて来たのか、何がどう足りなくなってしまったのか、具に検証し、これからも楽しい村民登山の続くことを願っています。

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